2005年5月8日

5月18日に早稲田大学で行う講演の準備に追われています。(詳細は、当ホームページのご案内をご覧下さい)。最近はパワーポイントというソフトによって、スライド作成が以前に比べて飛躍的に簡単になりましたが、問題は写真を入れると容量が何10倍にも増えてしまうことです。プロバイダーは10メガバイトもの添付文書を通してくれるわけもなく、こうした文書を送るには、当然郵便という昔ながらのシステムのお世話になることになります。もちろんPDFにすれば容量は大幅に減りますが、PDFにするソフトは高価なので、なかなか買えません。こう考えますと、安価でZIPよりも大幅に圧縮できるソフトが早く開発されることが必要ではないかと思っております。

私が1996年以来、ドイツに関するコラムを毎週掲載している、ヨーロッパに住む日本人向けの週刊新聞「ニュースダイジェスト」(本社ロンドン)が、突然休刊していましたが、5月6日から復刊しました。ドイツに住む日本人読者の中には、「ダイジェストがないと何となく物足りない」と感じていた人も多いようなので、朗報でしょう。今度はがんばってほしいものです。

先週の週末には、気温が28度まで上がり、まるで真夏のように日光浴ができたのに、この週末は気温が10度を割り、コートやセーターを着ないと外出できません。夜中には気温が3度まで下がります。ドイツの農民がEis Heilige(氷の聖者)と呼ぶ、5月の寒の戻りですが、今年はいつもよりも少し早いようです。この気温の激しい変化で、風邪を引く人も多いようです。


リドリー・スコット監督の新作「Kingdom of Heaven」を観ました。十字軍をテーマにした映画ですが、去年エルサレムへ初めて行ったので、関心を持っていました。CGを駆使した戦闘シーンや中世のエルサレムの市街は見ものですが、ストーリーはあまり腑に落ちませんでした。イスラム教徒軍を率いるサラディンを、実際よりも人間的に描いたのは、米国が対テロ戦争を行っており、西側対アラブの対立が尖鋭化している現実に配慮したのでしょうか。またエルサレムの東側が砂漠であるかのように描かれていますが、実際のエルサレムの東側にはオリーブ山というかなり急な岩山が迫っており、映画のように攻城砦を簡単に城壁に近接させることはできないと思います。

ドイツ語の日常表現で、なにか悪いことが偶然起こると「Pech gehabt」(コールタールを浴びる)と言います。中世の戦争では城門の上から、敵兵に煮えたぎったコールタールをかける防戦方法がよく取られたことが、語源です。今でも中世の城門の上には、このコールタール落とし口が残っています。この映画を観ていて、このドイツ語を思い出しました。どうやって撮影しているのかわかりませんが、CGによって、以前には不可能だった、このような凄惨な情景も再現できるようになりました。中世の戦争に関する言葉が、今でも日常会話の中で使われているというのは、面白いですね。